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母の浴衣

母から浴衣が送られてきた。
母の母が、母に縫ってくれたものだけど
一度も手を通していないという。

白地に薄い藍と薄墨で描かれた、
渋めの涼しげな浴衣である。
古い家を解体して荷物を整理したのだが
物はいいのでもらってちょうだいと送ってきたのだ。

私は小学校を卒業するまで
母の母、つまり祖母の家で大半を過ごした。
祖母は呉服屋さんから和裁を請け負って暮らし、
その背中に、猫のように纏わりついて私は育った。

その祖母が危篤と連絡が来て空港に向かう道すがら
美空ひばりの訃報がラジオで流れていた。

享年90歳。あれから18年。
その祖母が元気な頃に縫った浴衣だから、
もう40年はたつのだろうな。
色変わりもせず、誰かが着るの待っている。

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ところでわが娘は浴衣がお好き。
女子高で一度着付けを習ってからというもの
夏になると自分で着て、花火だ祭だと出かけるのだ。
私の若い頃の浴衣は皆、いまや娘のものとなる。

そして彼女の今年のお気に入りは
なんと私が高校時代に家庭科で縫った浴衣。
藍色の地に桃・黄・青・緑の花が散る、
昔ながらの典型的な模様。

30年後に自分の娘が着るなんて。
浴衣縫えても大学には入れないよーと文句言いながら
居残りして縫ってた高校生の自分に見せたら
びっくりして腰抜かすだろうな。

袖も丈もちょっと短くてつんつるてんだけど
娘は機嫌よくしゃらしゃら歩いてる。
あと20年くらいたったらこの娘が
「母の母の母が縫った浴衣」を着ているかもしれないな。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

時の流れと変わらぬものの不思議な対比を読ませていただきました。関わりのあろうはずのない自分にも、何ともいえない感慨が伝わってきます。
亡きご祖母様の浴衣もさることながら、高校時代の浴衣にお嬢さんが袖を通すイメージの何と想い溢れることでしょう・・・。
娘から娘へと連綿と紡がれていくもの、是非大切にされてください。

母も私も仕事にかまけて、和服には縁遠い生活。大切にし過ぎてタンスの中にしまいこまれていた浴衣。私の祖母と娘はほとんど接する機会がありませんでしたが、浴衣という1反の布を通して何かが世代を超えて伝わっていくことに、我ながら感動を覚えます。
kaoru1107さんも最近はお嬢さんと共通の話題ができたご様子。父から娘へ・・・も素敵ですよ!

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