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平山美知子さんと劉薇(リュウウェイ)さん

東京の紅葉も見頃を迎えた週末は、講演会とコンサートで成城学園前まででかけました。先日このブログでも紹介した、「成城 響きあう街」プロジェクト主催です。生まれ育った成城の街がどんどん変貌し、個性を失っていくことを悲しんだ女性が立ち上げた、町起こしが目的の文化事業で、今回が三回めです。

直前に主催者にいろんな出来事があり、集客活動が大幅に遅れてしまったとの悲鳴を聞き、応援をかねて駆けつけました。が、蓋を開けてみれば杞憂で、会場はほぼ満席。内容も、成城の街にふさわしい、品格と温かみのあるイベントでした。

講演会は、東京芸術大学学長を務めた日本画家故平山郁夫氏の妻で、平山郁夫シルクロード美術館館長の平山美知子さん。美知子さんは今年85歳ですが、とても活動的で若々しくチャーミングなイメージ。郁夫さんと知り合ったきっかけは、東京美術学校(現在の東京芸大)の日本画科の同期。

しかし美知子さんは、女子美術学校を中退して東京美術学校の女子第1期生として入学したため、郁夫さんより4歳半年上なのだそうです。だから、初めて会ったときはかわいい坊やにしか見えなかったの、と笑う美知子さんは、きっと美術学校のマドンナだったのでしょうね。

そして美知子さんは、首席で卒業したといいますから、ひょっとしたら、当時はご主人よりも実力が上だったのかもしれません。しかし美知子さんは、郁夫さんと結婚するときに自分の一番大切なものを捧げようと思い、自分に一番大切なものは絵を描くことだと思い至り、筆を折ったのだそうです。

以来50年以上ご主人を支え続け、マネジャーに徹してこられたとのこと。ライフワークとなった、シルクロードの大作の数々も、美知子さんの存在なしには実現しなかったと思われます。もちろん夫婦ですから、常に蜜月というわけではなかったでしょうが、魂で結ばれた同志としての、深くて大きな愛情が感じられました。

講演会のあとは、劉薇(リュウウェイ)さんのヴァイオリンコンサート。劉さんは、まさにシルクロードの蘭州の出身。幼少の頃は中国に文革の嵐が吹き荒れた時代で、娘の将来を思いなにか才能を身につけさせたいと考えた父親が、苦労してヴァイオリンを入手し子供用に改造。西洋音楽が排斥され、楽譜も何もない頃に、ガーゼを挟んで音が出ないようにして、隠れて練習を重ねたそうです。

文革時代が終わると、数百倍の難関を突破して西安音楽学院に入学。卒業後、20年前に日本に留学、桐朋学園大学を経て、ちょうど平山郁夫さんが学長だった頃東京芸大大学院博士課程を修了。穏やかで大陸的なオーラを感じる語り口から発する話は、同世代ながら平和で豊かな時代の日本で育った私には、想像を絶する苦労と並々ならぬ努力に圧倒されました。

曲目は、中国の代表的な作曲家、馬思聡の曲を中心に、中国少数民族の伝統曲や日本の奄美の子守唄、カザルスの「鳥の歌」など。民族を超えて平和をねがう思いを、美しく切ない音色にのせて奏でた演奏。暮れが近づき、厳しく慌しい日々の中で、心が洗われた晩秋の昼下がりを過ごしました。

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コメント

劉薇の演奏は現在の中国では全く通用しない。
技術どうこうでは無く、曲をセンスする感性が自己中心的な思考丸出しなので感動する以前に引きます。

厳しいコメントをいただきました。素人の私は、劉薇さんの演奏を心地よく聴きましたが・・・。せっかくのご意見ですし、もう2年前なので、機会があったらもう一度聴いてみたいと思います。

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