春一番が吹いて、いよいよ春を感じ始めました。さあ、昨年9月を最後に、一旦お休みしていた坂東札所三十三箇所めぐりを再開です。
今年最初は、埼玉県比企郡ときがわ町の九番札所・都畿山慈光寺。
自宅の最寄り駅から西武新宿線・池袋線を乗り継いで飯能駅へ。さらに西武秩父線で東飯能駅に行き、JR八高線に乗り換え、明覚駅で下車。ここまでで約2時間の行程。明覚駅からは、慈光寺入り口までバスで約15分。バスは1時間に1本くらいの運行ペース。
駅前のバス停で時間調整していた別のバスの運転手さんに、慈光寺までいくにはどうすればいいかと詳しく教えてもらってたところ、連れが割り込んで、「ここらで美味しいお蕎麦かうどんを食べられるところはありませんかー?」んもーっ、まずは行き方を把握しろっつーの!(`ε´)
しかし運転手さんうれしそうに、「ここはね、そばもうどんも美味しいんだよー!」っていろいろ教えてくれました。やれ遠いの、時間かかり過ぎのとブーイングの嵐だった連れは、そのひとことでモチベーションが一気にup↑!
親切な運転手さんのバスが出発するとすぐあとに、目的のバスが来てこちらも貸切状態。するとさっきの運転手さんが無線で、「慈光寺までいくお客さんが乗ると思うけど行き方教えてあげてーっ」て業務連絡。まるでタクシーにのってるみたい。なんて親切な土地柄でしょう!
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慈光寺入り口で下車すると、連れはまっすぐ建具会館へ。慈光寺の建築のために全国から集められた匠が居住した「番匠」という町の流れを組んで、襖や扉など伝統的な建具工芸で有名な地域なのです。
建具会館は、美しい意匠の建具の常設展示や注文受付を町営で行っているのですが、連れの目的はそこで売ってる地場産品。重いから帰りに寄りましょうよと言うのに、地元の人々の手による野菜や漬物が売り切れるといけないからと、際限なく買うのだ。
気が済んだところで、ようやく標高300メートルの山の上のお寺を目指して登り始める。車道と山道を交互にだらだらと登ること約40分、本堂に到着。このあたりは林業の盛んなところで、見渡す限り杉の山。頂上につくころには、相当の量の花粉を吸ったと思われます。
さて慈光寺は、寺の縁起によれば、673年天武天皇の時代に慈光翁の命を受け、僧慈訓が千手観音を祀ったのが開基とされます。その後、役行者の修験道場を経て、奈良時代に唐から訪れた鑑真和上の高弟、釈道忠により慈光寺として創建。
平安時代には天台宗の別院として、鎌倉時代には寺領として源頼朝の寄進を受けるなど、古より関東における仏教の中心として繁栄。戦国の世には焼き討ちに遭うなど衰運の憂き目にも遭いましたが、江戸時代には3代将軍家光の篤い信仰もあり、時代時代の必然に成り立つように存在を続けています。
山の上は観音堂を中心に、国宝級の文化財がさりげなく散在、犬も歩けば宝にあたる。境内には、慈覚大師が植えたと言う、樹齢1000年を超える多羅葉樹の葉が青々と。
時の流れと人々の営みをしみじみと感じる古刹でしたが、本堂で納経をしていただくころには、花粉のアレルギー症状がピーク。「産直の花粉は新鮮でしょ。」とウィットに富んだご住職との会話に笑って答える余裕もなく、転がるように山を降りました。
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山の麓まで降りてくると、時刻はもう3時半、いよいよお待ちかねお蕎麦タイム。建具会館の近くの「とき庵」へ行くと、店の方がもうのれんを下ろそうとしているところ。「今日はお客さんがたくさんで、蕎麦はもう一人前しかなくなってしまったの。代わりにサービスで蕎麦がきを作ってあげるから、お蕎麦は半分ずつでがまんしてね、さあさ入ってお好きなお席に・・・」と優しく迎え入れてくれました。
最後の一人前のおそばは、人気の山菜天ぷら盛り合わせつきを注文。ふきのとうやのびる、せり、椿に似たお花など、早春のやさしさがふんわりともられています。お蕎麦は地粉で歯ごたえのある麺で、蕎麦がきをいただいたこともあり、お腹も十分満足。ぐじゅぐじゅになっていた目や鼻も、温かいお茶にすっかり癒されました。
帰路はまたまた、越生駅までバス貸切。今度は東武越生線で坂戸を経由し、東武東上線で都心に戻りました。家に着いたらそのまま風呂場に直行し、頭の先から足の先、目ん玉ひっくり返し鼻の奥まで花粉を洗い流して、さっぱりしたところで美味しいビール。
いやはや1日で一箇所しか廻れませんでしたが、一千年を旅したような長い長い巡礼でした。
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